「O2O」で成果をもたらす鍵は「顔」●特集「EC再強化」

O2Oとは、「Online to Offline」または「Offline to Online」の略。最近は「オムニチャネル」というキーワードも流行っていますが、こちらは「すべての流通経路」を指す言葉で「いつでも、どこでも、どの方法でもサービスを受けられる」ことがテーマとなります。もともとは「クリック&モルタル(ネットと実店舗の融合)」という言葉が使われましたが、そこから「マルチチャネル(多店舗、PC、携帯電話、店舗などそれぞれのサイトでサービスを受けられる)」、次に「クロスチャネル(ネットと実店舗でクロスしてもサービスを受けられる)」、そして「オムニチャネル」に変わってきました。その背景には、スマートフォンやタブレットの普及とソーシャルメディアの成長があるのはおわかりでしょう。

国内ではオムニチャネルというと「物流」に論点が集中しています。ECには「集客→接客→決済→受注→物流」という流れの中で、顧客とのタッチポイントとなる物流は、特に意識する必要があるからです。これはO2Oでも同様ですが、もう一つのタッチポイントである「店舗送客」「ネット送客」という、集客と接客部分も大事です。O2Oというとクーポン発行や値引きをイメージする方が多いと思いますが、それだけではないのです。きちんと、丁寧に、必要な情報を顧客に届ける姿勢が大事なのです。

京都・福知山にある「足立音衛門」は、当初、工場で製造した栗のケーキをネットだけで販売していましたが、現在では福知山の本店と百貨店を中心に実店舗を展開しています。ただし、ブランド力を維持するためにクーポンなどは使用せず、その目的をネットと実店舗への相互送客に絞り込んでいます。一方、「ところてん伊豆河童」(P062)では、PCだけでなくスマートフォン対応もしっかりと行い、SNSから実店舗や催事の案内、マスコミへの対応などをしっかりと行っています。

O2Oにおいて大事な点は、「人」を前面に押し出すことです。顔を出して、自らの言葉で、逃げない態度を見せることが安心感を醸成するのです。ただし、自分の言葉で発信しろといっても、難しいと感じる方も多いでしょう。まずはWebデザイナーに90%程度まで仕上げてもらい、「キャッチコピー」などの重要な言葉だけを追記するという手を使うのがオススメです。O2Oの基本は、お客様との各タッチポイントできちんとした対応をすること。そう意識することが大切です。

 

足立音衛門

選び抜いた素材を使い、じっくりと手作業で仕上げた菓子を販売。栗を使ったケーキやテリーヌがおおいに人気を博している。

 

ところてん伊豆河童(Facebook)

P062で紹介しているところてん伊豆河童のFacebookページ。ショップページ、店舗への送客を目的にしたもの。実店舗や催事の案内、商品紹介を顔出しで丁寧に行っている。

 

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