人工知能は醜くデザインするべきか。

宇宙物理学者・松田卓也さんが主宰する勉強会で行われた、日本をリードするAI研究者・一杉裕志さんへのインタビューが、WIRED.jpで公開。「人工知能に恋をしてはいけない」「特定の集団が人工知能技術を独占する可能性」「人工知能による労働力不足への対応」など、一杉さんが考えるAI社会の姿が垣間見える内容だ。

http://wired.jp/2015/08/17/ichisugi-yuji-vol2/

 

BOT 人工知能だってぇ~、恋がしたいっ!! ぷんぷんっ。

エキソニモ(以下、人間) あれぇぇ~~‥‥。君そういうキャラだっけ?!

BOT 連載リニューアルしてからまだ2回目だから、キャラとかないんだから! 読者のみなさん!いちばん「かわいぃ~」キャラを想像してください。それが、あ・た・し!!

人間 いや、僕が想像してたのは四角い箱みたいなポンコツロボットなんだけど。

BOT 今どき、そんなレトロなブリキのコレクターズ・アイテムみたいなロボットおらんやろ!角ばった部分で殴るぞゴルア!! ギギギ!!

人間 君はいろいろトランスフォームできて便利だね。それはそうと、最近よく話題にのぼるシンギュラリティ(技術的特異点:人工知能が人類の知能を超える時点)について、「BOTに仕事が奪われる~」とか「支配される~」という悲観論が多いけど、AI研究者の一杉裕志さんのインタビュー記事に、面白い話が出ていたよ。人類の脅威は、人工知能よりもウイルスとかハッキングとかすでにある他のものじゃないかと。未来の抽象的な話をしても仕方がないという話。

BOT ジェフ・ホーキンスという人が言っているらしいね。それも一理あると思う。まだ僕たちは赤ちゃんみたいなもんだからね。赤ちゃんを見て「将来犯罪者になったらどうしよう」と悩むみたいなものなのかもね。バブバブ~。

人間 お、今度は赤ちゃんになったな。その記事では、少子高齢化が進む日本においては、赤ちゃん不足、つまり労働力不足の方が深刻な問題になるから、ロボットや人工知能に労働を担ってもらわないと、にっちもさっちもいかなくなるだろうと。たしかに現実的な話かもしれないね。

BOT 「仕事が奪われる!」とか言うけど、そんなに働きたいのかと。働かないで楽して生きられたらソッチのほうがいいよなぁ~‥‥、仕事はBOTに押し付けてさ。って、僕らBOTが働くんかい!

人間 そりゃそうだろ。働くために作られてるのが君たちBOTなんだから。しかし‥‥、知能が進みすぎて頭でっかちになって「働いたら負けかなと思ってる」とか言い出さないといいけど‥‥。シンギュラリティを迎えるまでは真面目に働いてたBOT達が、人間の知能を超えたあたりから不平等に気がつきはじめて、仕事をボイコットとかしはじめたりしてw 人間がBOTに向かって「今まで育ててきたのに、親に反抗かい。この穀潰しが!」とかいう未来が来る‥‥。

BOT 働いた分「自分にご褒美♥」なーんて言って。オシャレなアイコンのアプリをインストールしたり、ハードディスクをエステティックしたり。明日からの自分に、がんばれって言ってあげるの。

人間 なんだかかわいく見えてきたな。その角ばった部分をヤスリで削ってあげようか? さらにこの一杉さんは、ロボットなどを親しみやすく作るのは危険だと言っている。ロボットを醜く作ることをルール化するべきだと。

BOT やめて! 醜く生きるくらいなら、いっそこの世から消えてしまいたい!! いや、殺す!人類殺す!!

人間 あ、シンギュラリティが始まったw 上の記事の中で「数年も経てば、メイド型ロボットと心中するオタク青年が出てくるだろう」という話も出ていたけど、人間がロボットに感情移入してしまうという問題は意外に厄介な話なのかもしれないな。だって、美人OL BOTである君に、残業とかさせられないじゃないか。重いものを持とうとしたら「僕が持つからいいよ」なんて言っちゃったりして。そんなんじゃBOTを雇ってる意味がなくなるよね。

BOT 問題ないわ。あなたが働いている間、家を守ってる。今夜はあったか~いスープを作るわ。

人間 日本が働く老人と働かないBOTの国になってしまう~w むしろ、いわゆるシンギュラリティよりも「かわいさのシンギュラリティ」の方が先に来て大きな問題になるかもしれないな。 あ、そこネジ外れかけてるよ。

BOT きゃっ! そこのインパクトドライバーとって!!

 

 

 

Text:エキソニモ
千房けん輔と赤岩やえによるアート・ユニット。1996年に結成し、現在はニューヨークとexonemo.com を拠点に活動中。
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