[Webサービス:Peach]桃の花は咲くのか

はじめまして、本号からこのコラムを執筆するグッドパッチの土屋です。グッドパッチは東京とベルリンにオフィスがあるUIデザインファームです。新しいもの好きのメンバーが集まる会社なので、毎日いろんな新しいサービスやアプリの情報が共有されるような職場です。そんな社内で話題になったサービスやアプリなどを紹介していこうと思っています。

連載の1回目に紹介するのは、2016年の年明けに彗星の如く現れた新しいタイプのメッセージングアプリ「Peach」です。動画共有サービス「Vine」の共同創設者であるDom Hofmann氏が立ち上げました。名前通りのピンクのかわいらしい桃のアイコンで、強豪ひしめくレッドオーシャンなメッセージングアプリのマーケットに、どんな勝算があって参入してくるんだと思っていました。ところが、新プロダクトの紹介サービス「Product Hunt」で1,400以上のVOTE(支持)を早々に獲得し、海外の各テック系メディアに取り上げられ続けています。

ほかのメッセージングアプリとの違いで特徴的なのが、「Magic Words」と呼ばれるコマンドラインインターフェイスです。たとえば、メッセージ入力の画面で「GIF」と入力するとGIF画像の検索画面が、「draw」と入力すると手書き入力の画面が立ち上がり、その結果を簡単に投稿できます。いろんなMagic Wordsがあるので、どんなWordsが隠されているのかを探す楽しさもあります。コマンドラインでの機能呼び出しは、多くの企業で使われるようになった「Slack」にも似ており、海外のメッセージングアプリは追随して取り込んでいく予感がします。

立ち上がりはまずまずの結果ですが、ここから先、どんな戦略でユーザーを獲得していくのでしょうか。一発屋で終わるか、メッセージングアプリのスタンダードとなるか、Peachの今後に注目です。

【Web Service】Peach

「Magic Words」と呼ばれる文字コマンドを入力する(左)と立ち上がる投稿サポート機能(右)が特徴的。このほかに、「throwback」(カメラロールからランダムで写真を投稿)、「mood」(今の気分を絵文字付きで投稿)、「noise」(周りの騒音レベルを追加)、「here」(現在地を追加)、「shout」(大きな文字で投稿)など、多くのMagic Wordがある
ナビゲーター:土屋尚史
Chief Executive Officer/Founder (株)グッドパッチ代表取締役。1983年生まれ。Webディレクターとして働いた後、サンフランシスコに渡る。帰国後、2011年9月に(株)グッドパッチを設立し、UIデザインを強みにしたプロダクト開発で2015年にはベルリンに進出。グッドデザイン賞受賞の「Prott」も開発している。https://prottapp.com/
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