Twitter広告 ココを理解せよ!

Point 1 Twitter広告の強みを正しく理解する

まずはTwitterの基本的なユーザー属性とその特徴について理解を深めよう。そして、Twitter広告の基本パターンから自社の場合に最適な方法を選択しよう。

 

30代以上のユーザーは購買意欲も高い

MAU(月間アクティブユーザー数)が全世界で3億1,300万人以上というTwitter。日本国内のユーザーはその10%を超える約3,500万人を占めるなど、市場規模はかなり巨大だ。「匿名でも気軽に発言できるTwitterは日本人によくマッチしている」とトランスコスモスの井関晋太郎さんは語る。

サービス自体はモバイルとWebの両方で展開していて、ユーザーの年齢層は20代以下が半数を占めるが、30代以上もほぼ半分、男女比も半々だ。「若い世代がコミュニケーション目的で利用するのに対して、30代以上は情報収集などで活用する傾向があり、モバイルECでの購買率が高い」というのもTwitterの大きな特徴だという。

具体的に購入された商品ジャンルとしては「食品・飲食」「キャラクターグッズなどホビー系アイテム」「エンタメコンテンツ」「ゲーム」「テクノロジー製品」「アパレル」などが強いとされているが、プロモーション次第ではニッチな商材やサービスが一気に盛り上がることもあるのが、いかにもTwitterらしいところと言えるだろう。

Check Twitterはスマートフォンからの利用率が8割を占める。利用時間の占有率を見ると、LINEが13.6%に対してTwitterは9.5%と健闘している。そのタイムライン上に表示されるネイティブ広告は効果が期待できる。

一般的なセルフサービス式のTwitter広告は「プロモツイート」と呼ばれる形式で、Webまたは公式クライアントのフィード内にユーザーの興味・関心に合ったツイートが流れてくるhttps://twitter.com/

 

狙うべきターゲットと運用方針を検討する

Twitterはリアルタイム性の高いSNSと言われる。フィード内はユーザーと関連性の高いツイートを優先的に表示する仕組みが導入されたが、基本的には時系列で順番に流れる「タイムライン」形式で、フォロワーのツイート群が次々に表示される。つまり、多くのユーザーの「今」の興味関心を可視化してくれるサービスとも呼べるのだ。

Twitter広告にはいくつかの種類があるが、もっとも一般的なのは、このフィード内に表示される「プロモツイート」タイプの広告だ。バナー広告のようにポップアップするのではなく、タイムラインに挟まれるように表示されるので、ユーザーからは違和感を持たれにくい。この性質をよく理解して広告を出すことで大きな効果を上げられると井関さん。

「ユーザーのリアルタイムの関心事が現れるのがTwitterの特性です。例えば夜中に『腹減った』とつぶやけば、ラーメンの広告が表示されたりするわけですね(笑)。TV番組との相性も良くて、情報番組で取り上げられたアイテムのツイートが盛り上がると、そのアイテムの広告がリツイート(RT)で一気に拡散したり、アイテムによってはその場ですぐ購入されることもあります」

また、「季節もの」のニーズも高く、例えば10月なら「ハロウィン」にまつわるツイートが増加するという。こうしたタイミングにうまく合わせられるかどうかがTwitter広告の成否に影響する。

そのため、自社のセルフサービス式で行う場合も、代理店経由で行う場合も、ユーザーが「今、解決したい課題」に対して広告を提供できるかどうか運用を事前に設計しておこう。

Check プロモツイートは普段のTwitterアカウントの発言(オーガニック)で反応がよいものを広告に転用する場合と、広告用のツイート(カード)を作成しておき、期間や予算を設定して出稿する方法がある。

Check セルフサービス式で出稿する場合、月5,000件の誘導を獲得するには、アクションの単価を40円と仮定して月間予算を20万円のように見積もる。

 

Point 2 適切なターゲティングで費用対効果を上げる!

基本的な運用方針が固まったら、次は広告アカウントを取得して「広告マネージャ」画面からキャンペーンを作成しよう。ここではダイレクトな獲得を前提にターゲティングの基本を見ていこう。

 

キャンペーンを作成しターゲティングを設定する

Twitter広告を開始するには、自社のTwitterアカウントと広告アカウントの取得手続きが必要となる。アカウントにログインした状態で「ads.twitter.com」にアクセスすれば、数ステップで設定が可能だが、セルフサービス式で行うにはクレジットカードまたはデビットカードが必要。手続きが可能かどうかは経理部門で事前に確認する必要があるだろう。場合によってはプリペイド方式のカードを利用するといった選択肢も検討したい。

準備が済むと「広告マネージャ」からキャンペーンを作成する。キャンペーンの目的は「ツイートのエンゲージメント」「動画の再生数」「フォロワーの増加」などからどれか1つを選択する。この目的によって得られる成果や課金方式が細かく分かれるが、ここではわかりやすく「Webサイトの誘導数またはコンバージョン」「アプリのインストール」といったダイレクトな効果が求められる“獲得”系のキャンペーンを前提に話を進めていこう。

キャンペーンの作成画面は、キャンペーン名や実施期間の設定以外は、ほぼターゲティングと予算設定にまつわる項目が中心となる。それだけ「適切なターゲットに絞り込めるかどうかがキャンペーンのポイント」になるのだという。

ターゲティングは特定のアカウントのフォロワーに向けた「フォロワーターゲティング」や興味・関心による「インタレストターゲティング」、ユーザーのツイートや検索ワードによる「キーワードターゲティング」、ユーザーの所在地に基づく「エリアターゲティング」などが可能で、さらに自社のメルマガ登録リストに向けて配信したり、自社サイトの訪問者へ向けた「リターゲティング」にも対応している。

いきなりすべての方法を使いこなすことは難しいかもしれないが、キーワードと競合となるアカウントの絞り込みにユーザーの基本属性を掛け合わせるのが、もっともシンプルで効果も期待できる。

Check エリアターゲティングは、国内は都道府県単位での指定となる。そのため、単に地域だけを設定するのではなく、興味関心と掛け合わせて「北海道×旅行」のようにするのがポイントだ。

Check 競合アカウントはいきなり探そうとしても見つからないことがある。自社アカウントとは別の個人アカウントなどで、普段から仕事に関連しそうなアカウントをフォローしてリストを作成していると広告配信の際にも役立つ。

 

予算の設定は手動で行うのがポイント

適切なターゲティングを行なったら、あとは予算の設定である。基本的に広告の費用はオークション方式となっていて、獲得したいクリック数などユーザーのアクションに対して入札額を設定する仕組みだ。たとえ入札額が同じでもクリックされやすい(クリック率が高い)広告がより多く表示されやすくなるので、クリエイティブ(広告の内容)の質が重要なのは言うまでもない。

初期設定では「自動入札」になっているが、そのままではインプレッション(表示の回数)を増やすために入札額が上がりやすい傾向がある。そのため、手動で「上限入札単価」を設定しておくのがポイントだ。獲得したいアクションに対する単価を80~100円の範囲内からスタートするのが一般的と言えるだろう。

「獲得系のキャンペーンではCPC(クリック単価)が低く抑えられれば結果的にCPA(顧客を獲得する単価)が抑えられますので、ROAS(広告の費用対効果)も高くなります。それらの指標とユーザーの反応を見ながら施策を改善するPDCAサイクルを回して、さらなる効率化を実現することも可能です」

Check コンバージョンを測定するには「ユニバーサルWebサイトタグ」と呼ばれるタグを自社サイトに設置しておくことで、その反応を追跡(トラッキング)して施策の改善に活かすことができる。

Check 適切なターゲティングを行えば、たとえブランド力や知名度がなくても「商品力」だけで特定のユーザーに刺さるプロモーションを展開できる。その意味では中小ビジネスにも適していると言える。

 

Point 3 クリエイティブの基本と効果測定の考え方

キャンペーンのターゲティングと予算設定を済ませたら、クリエイティブの設定となる。効果のあるクリエイティブのポイントと目的に応じた評価指標(KPI)の設定について考えていこう。

 

短いテキストに効果的な文言を設定しよう

Twitterではクリエイティブ(広告の内容)はテキストが主体となり、これに効果的な画像または動画を組み合わせることで広告用のツイートが作成できる。通常のアカウントで投稿された過去のツイートでインプレッションなどが高かったものを広告ツイートに設定することもできる。

ツイート本文の文字数は、画像などを含めても140文字使えるようになった。この制約の中でユーザーの興味を喚起しつつ、ターゲットに伝えたいメッセージを込めるのはなかなか難しいところもあるが、ここは担当者の工夫のしどころでもある。

井関さんによると、獲得系のキャンペーンでよく用いられるテクニックに「1行目に感情を揺さぶるような言葉やメッセージ」を入れ、2行目以降にターゲットに合わせて具体的なメリットを簡潔にわかりやすく述べ、最後に「インストール」や「クリック」など起こしてほしいアクションについて1つだけ述べるというものがある。これに前述したその時期の話題性を込められるのであれば、いっそう効果的となる。

極端な例を挙げれば、「この夏、全米が泣いた!/9歳の少女と愛犬がとった奇跡の行動とは/『作品名』全国映画館で上映中」という広告らしいお決まりのフレーズも、テキストのコピーライティングをする際には参考になるのだ。さらに訴求したい内容やターゲットによっては、ネットスラングや絵文字を活用するなど通常の広告では難しい表現にチャレンジしてみる姿勢も重要だ。特にセルフサービス式の場合は最低出稿金額がないので、少額から実験できるのも大きな利点だろう。

「広告ツイートに正解はないので、1つだけに決めてしまうよりは何パターンも用意して、いろいろ試してみることが重要です。小さくスタートして効果を見つつ、うまくいっているクリエイティブ施策を伸ばしていくのがいいでしょう。あらかじめ予算のうち1~2割をチャレンジ用に確保していくのも手です」

Check 自社アカウントのインプレッションやエンゲージメント率などは広告マネージャの「アナリティクス」→「ツイートアクティビティ」画面で確認できる。ここからパフォーマンスの高い過去ツイートを見つけられる。

 

費用対効果の測定と新機能へのキャッチアップ

キャンペーンを実施したら、その目的に応じて設定した指標(KPI)を確認し、その費用対効果の評価や施策の改善につなげていく必要がある。

「最低1カ月に1度は施策の成果を精査して、大きな方向性は3ヵ月ごとに見直しを図っていくのがよいでしょう」

Twitter広告ではアナリティクス画面から各種の数値がほぼリアルタイムで表示され、獲得系であればWeb誘導のサイトクリックやコンバージョン、アプリのインストール用に作成したTwitterカードから得られた結果などがわかりやすいビジュアルで表示される。

例えば、Webサイト誘導やコンバージョンであれば、リンククリック単価は60~80円程度に収まるようにするのが平均的な価格感で、競争が激しくなるほど設定した入札額に近づいていく。クリック率は0.5%以上となれば理想的で、逆に0.2%を切っているようであれば施策に問題があると言える。

そこから最終的なエンゲージメントの獲得単価(CPA)、アプリの場合はインストール単価(CPI)が算出され、これをKPIとして見ていくのが一般的な指標の設定方法だ。競争が激しく獲得単価が高騰しているリスティング広告に比べるとSNS広告、特にTwitter広告では現在のところCPCやCPAが低く抑えられている傾向がある点は見逃せない。

ただし、SNS広告の運用で注意しなければならない点として、新機能の追加やトレンドの変化が早いことがあると井関さんは語る。

「今は動画広告が注目を集めていて実際に成果も上げていますが、縦型動画やTwitterステッカー機能など、SNSでは新機能の追加が次々と投入されます。ユーザーの興味関心も変わりますので、広告の運用もそれらの動きに対して敏感に、素早く検討していく柔軟性が求められています」

Check URLを設定することで「Twitterカード」も作成できる。カードの画像サイズは800×320ピクセルで、目的によってWebサイトカード、リードジェネレーションカード(見込み客の情報収集)、アプリカード(ダウンロードや起動を促す)などがある。

Check ユーザー投稿動画などを8割以上が視聴経験があるなど、Twitterは動画プラットフォームとしての性格が強まっている。Twitterの動画広告もこの動きに合わせて対応していく必要がある。

 

教えてくれたのは…井関晋太郎
トランスコスモス(株)デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括 インターネットプロモーションサービス本部 メディア推進部 ソーシャルアド課ソーシャルメディアスペシャリストとしてTwitter広告を中心にソーシャル広告の提案・運用を行う。http://www.transcosmos.co.jp/
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