プログラムに関する著作権

身の回りに溢れる写真や映像、さまざまなネット上の記事‥‥そういった情報をSNSを通じて誰もが発信したりできるようになりました。これらを使ったWebサービスが数多く誕生しています。私達はプロジェクトの著作権を守らなくてはいけないだけでなく、他社の著作物を利用する側でもあります。そういった知的財産権に関する知っておくべき知識を取り上げ、毎回わかりやすく解説していくコラムです。

(※この記事は2017年12月時点の法令等に基づいています。) 

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著作権法には、著作物の種類の一つとして「プログラムの著作物」が掲げられています。そのため、プログラムも著作物として保護される対象になります。さらに、特許法でもプログラムは保護される対象なのですが、これについては特許庁での審査を経て、登録をしないと権利が認められません。プログラムについては、特許権と著作権のどちらの権利が認められるのかを考えておく必要があります。

その中でもディスプレイ画面への表示を伴うプログラムは、その画面の表示が「美術の著作物」、あるいは「映画の著作物」として著作権が成立する場合があります。逆にビジネス用ソフトウェアなどの場合、利便性を追求するとどうしても似通ったデザインになりがちであることから、創作性がないとして、過去の裁判では著作物にあたらないとした例もあります。

その一方で、ゲームソフトなどプレイヤーの操作に伴い、刻々と変化する画面は「映画の著作物」にあたります。判例でも、ビデオゲーム「パックマン」や、家庭用テレビゲーム機の起動時の一連の映像は、一定の視聴覚的効果を有しているとして、映画の著作物に該当するとされています。

また、画面上にキャラクターなどのイラストが登場する場合は、基本的にイラストそのものが美術の著作物となるでしょうし、画面全体のデザイン、レイアウトも美術著作物となると考えられます。

過去に携帯電話用釣りゲームについて、DeNAのゲーム「釣りゲータウン2」の画面が、グリーのゲーム「釣り★スタ」の画面の著作権を侵害しているとして裁判になった事件があります。

この事件、一審では著作権侵害が認められましたが、控訴審はこれを覆し、著作権侵害にはならないと判断。最高裁でもこの判断が支持されました。ただ、この事件においても、グリーのゲーム「釣り★スタ」の画面や映像が著作物に該当し、そこに著作権が成立することは前提とされていました。控訴審で判断が覆ったのは、2つのゲームの画面が著作権侵害といえるほど類似していてはいないと判断されたからです。釣りをゲーム化する以上、ある程度似通ってしまうのはやむを得ないという意見があったと考えられます。実際の画面(右図)を見ても、画面のデザインとしてはかなり違ったものになっていると言えるでしょう。

ソフト開発に際し、コンセプトが同じソフトの先行例がある場合、機能的に似通ったものになってしまう部分については、似てしまってもやむを得ないと考えてよいと思います。ただ、具体的なデザインなどについては、できる限り違ったものにしておくことが必要だといえるでしょう。

携帯電話用の釣りゲーム「釣り★スタ」の画面(上)の著作権を侵害していると訴えられた「釣りゲータウン2」の画面(下)。判例「平成21(ワ)34012」より引用

※Web Designing 2017年12月号掲載記事を転載

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