テクニカルサポートは、製品価値の一部。Movable Typeの信頼を支える現場の思想とは?

シックス・アパートが開発・提供するCMS「Movable Type」の強みの1つが、「テクニカルサポート」の存在です。テクニカルサポートは、製品を継続的かつ安心して利用してもらうために、導入後の問い合わせ対応や技術支援を行う部門。現在は8名の正社員がサポート業務に従事しており、Movable Typeへの信頼を支える重要な役割を担っています。

今回は、シックス・アパートのテクニカルサポートスタッフ3名にインタビューを実施。Movable Typeクラウド版を担当する岩井良博さん、MovableType.netを担当する野原なお江さん、Movable Typeソフトウェア版Movable Type AMI版を担当する高橋宏一さんに、「担当者としてのマインド」「顧客との向き合い方」「製品へのフィードバック」などについて話をうかがいました。長年にわたりユーザーや制作会社から支持され続けるMovable Typeシリーズですが、その背景には、どのようなサポート体制や思想があるのでしょうか。

目次

お客様の立場に寄り添う、プロのサポート集団

──最初に、簡単な自己紹介と、テクニカルサポートで働くようになったきっかけを教えてください。

岩井良博(以下、岩井) シックス・アパートのテクニカルサポートとして働き始めて、気づけば20年以上になります。入社当時はCMS自体をよく知らなかったのですが、気づけばメンバーの中で最古参になっています。

野原なお江(以下、野原) 私が入社したのは、岩井さんの1年後くらいです。もともとIT業界に興味があり、「未経験OK」の募集を見て挑戦してみようと思ったのがきっかけでした。最初は「サポートって何をするんだろう?」という状態でしたが、お客様の悩みや困りごとを解決できることに、今では大きなやりがいを感じています。

高橋宏一(以下、高橋) 僕は入社2年目です。元々派遣先として参画したシックス・アパートでの研修や業務を通じて、手応えを感じる場面が多く、「ここで働きたい」と思うようになったんです。

──各々IT業界への興味を持ちながらも、入社時点ではサポート業務は未経験だったんですね。

岩井 はい。私自身、ほとんど素人に近い状態からのスタートでした。先輩方にさまざまなことを教わりながら、少しずつ経験を積み、今に至っています。

──テクニカルサポートには、1日にどのくらいのお問い合わせが寄せられるのでしょうか?

野原 具体的な件数は公表していませんが、場合によっては、その日のうちにすべてのお問い合わせへ対応しきれないこともあります。お問い合わせの半数以上は製品やサービスに関する内容で、製品ごとに担当者へ振り分けて対応します。残りは契約関連のお問い合わせで、こちらはテクニカルサポートとは別のスタッフが対応していますね。

──みなさんは、テクニカルサポートの役割をどのように捉えていますか?

岩井 ひと言で言えば、「お客様とシックス・アパート、そして製品・サービスをつなぐ『ハブ』のような存在」だと思っています。

Movable Typeクラウド版を担当するサポートエンジニアの岩井良博さん

高橋 お問い合わせの中には、公開しているマニュアルと、お客様の状況に合わせた付加情報をご案内することで解決できるものもあれば、それだけでは解決が難しいものもあります。特に後者こそ、テクニカルサポートの役割だと感じています。マニュアルだけでは補えない部分をサポートし、お客様の困りごとを解決するのが、僕らの仕事です。

野原 私自身、他社製品のサポートを利用する機会がありますが、いただいた返答を利用者として参考にすると同時に、「どんな返答なら安心できるか」「今後も使い続けたいと思えるか」といった、サポート提供者側の目線でも参考にしていますその感覚を日々の業務にも重ねていて、たとえ仕様上できないことであっても、「できません」と伝えるだけで本当に十分なのか、常に考えるようにしています。

大切なのは、こちらの都合ではなく、お客様自身が納得できる形で解決につなげることです。

──そうした対応の積み重ねが、Movable Typeシリーズへの信頼にもつながっているんですね。

岩井 Movable Typeの仕様や構造を理解している立場からすると、「それは難しいかもしれない」と感じる要望もあります。ただ、その声を途中で止めてはいけないとも思っています。

お客様の声は、必ず社内へ伝えるようにしていますし、実際にそのフィードバックが新たな気づきや製品の改善につながることも多いんですよ。

野原 サポート業務は、お客様に寄り添う仕事です。もちろん、私はシックス・アパートの人間ですし、プロダクトにも愛着があります。でも、だからこそ、一度その立場を脇に置いて、お客様が本当に困っていることは何なのかを考えるようにしています。その声を社内で共有することで、結果的に製品改善にもつながっていくと思います。

MovableType.netを担当するセールスマネジャーの野原なお江さん

環境によって変わる、お問い合わせ対応のアプローチ

──それぞれ担当しているプロダクトが異なりますが、お問い合わせ内容や傾向に違いはありますか?

岩井 大きな違いは、やはり「環境」ですね。クラウド版やMovableType.netはシックス・アパート側で環境を構築・提供しているので、構成を把握しやすく、状況も追いやすいです。ソフトウェア版やAMI版と比べると、その点は対応しやすい部分があります。

高橋 ソフトウェア版で多いのは、バージョンアップ関連のお問い合わせです。新バージョンへ更新した後に、「正常に動作しなくなった」というご相談をいただくケースもあります。

Movable Typeソフトウェア版 とAMI版を担当するサポートエンジニアの高橋宏一さん

高橋 またソフトウェア版は、お客様ごとにサーバ環境や構成が異なります。AMI 版も EC2 インスタンスの種類など、お客様によってさまざまです。そのため、詳細を確認しながら対応を進める必要がありますが、環境が古く、こちらで検証環境を再現できないこともあります。お客様に状況を詳しくうかがっても、すべてを把握しきれないケースもありますね。

──その点、Movable Typeクラウド版は環境を把握しやすいわけですね。

岩井 はい。ただクラウド版でも、お客様側でプラグインを導入しているケースがあります。動作不良が起きた際、それがMovable Type本体によるものなのか、プラグイン側の問題なのかを切り分ける必要があります。たとえば、サードパーティ製プラグインに原因があった場合には、プラグインの開発元へのお問い合わせをご案内します。

野原 MovableType.netも、環境はシックス・アパート側で用意しているので、契約内容や機能の利用状況を確認しながら対応できます。お客様と同じ環境・同じプランで再現検証できるため、状況を追いやすいですね。

──環境は把握しやすい一方で、MovableType.netだからこそ注意している点などはありますか?

野原 MovableType.netのお問い合わせは基本的な操作に関する質問が比較的多く、CMSの操作にまだ慣れていないお客様も多い印象があります。なので、単純にマニュアルをご案内するだけでは不十分だと思っています。「このボタンを押すと、次はここに進めます」といった形で、お客様が実際に操作しやすいよう意識して回答しています。

Movable Typeシリーズのテクニカルサポートは、ユーザーサイトの専用フォームから、MovableType.netは管理画面から利用可能です

お客様の不安や真意を汲み取る──現場経験から得た学び

──これまでテクニカルサポートに携わる中で、印象に残っている出来事はありますか?

野原 かなり前になりますが、当時担当していたブログサービスで大規模なサーバダウンが発生し、数日間ほぼ徹夜で対応したことがありました。お客様も非常に不安な状況だったので、とにかく「コミュニケーションを途切らせないこと」を意識していました。

──コミュニケーションを途切らせない、というと?

野原 復旧作業に大きな進展がなくても、定期的に状況をお伝えしていたんです。「まだ対応中です」といった内容でも、連絡を欠かさない。当時は本当に大変でしたが、お客様の立場に立って対応する大切さを、強く実感した経験でしたね。

──ここ数年ではいかがですか?

岩井 最近だと「AIに聞きながらMovable Typeを操作したら、おかしくなった」というお問い合わせが印象的でしたね。「今っぽい相談だな」と思いました。

以前は、みなさんある程度マニュアルを読んだうえでお問い合わせをくださる印象がありました。でも最近は、まずAIに聞いて、その回答をそのまま試すケースも増えています。もちろん便利な一方で、AIは誤った情報もそれらしく返してしまうので、内容を見極めないまま進めると、結果的に遠回りになることもあるんですよ。

「最近はAI関連のお問い合わせも増えてきた」と語る3人

──高橋さんはいかがですか?

高橋 本来サポート対象外の内容ではあったのですが、テンプレート記述について調べていた際、マニュアルに載っていないMTタグの属性に気づいたことがありました。試しにAIに聞いてみたら「使える」と返ってきて、さらに開発スタッフへ確認したところ、「実は使えます」と(笑)。自主的に調べたり試したりしないと、なかなか新しい発見にはつながらないと思うのですが、そうした発見があるのは、この仕事の面白さのひとつだと思います。

──高橋さんは現在2年目とのことですが、経験を重ねる中で、サポート業務への向き合い方に変化はありましたか?

高橋 最初の頃は、お問い合わせ内容に答えるだけで精一杯でした。でも今は、「このお問い合わせの背景には何があるのか」「本当は何を実現したいのか」といった、本質的な部分まで考えながら対応できるようになってきたと思います。それは、岩井さんをはじめとする先輩方のおかげです。

岩井 メールに書かれている内容だけではなく、その裏側まで読み取ることが大切だと、メンバーにもよく伝えています。もちろん、説教っぽくならないように気をつけながら(笑)。

高橋 はい、優しく教えていただいています(笑)。

スムーズな解決につながる、お問い合わせ時の工夫

──最後に、トラブルをスムーズに解決するために、お問い合わせ時に意識するとよいポイントがあれば教えてください。

岩井 お問い合わせの際に、利用環境に関する情報をあわせて共有いただけると、状況を把握しやすくなります。特にソフトウェア版では、「導入しているプラグイン」「サーバ環境」などが重要です。加えて、「何をしたかったのか」「どの操作で問題が起きたのか」を教えていただけると、よりスムーズに原因を探しやすくなります。

高橋 そうですね。ソフトウェア版やAMI版は、クラウド版や MovableType.net のようにお客様の環境や構成を把握することが難しいです。お問い合わせ内容によっては、お客様の環境情報などを確認したうえで検証環境を構築し、こちらでも状況の確認を行います。問題が発生するまでの流れも書いていただけると、こちらで状況を再現しやすくなり、原因の切り分けや素早い解決につながります。開発チームに仕様の確認などもしやすくなるので、とても助かります。

野原 エラー画面が表示されている場合は、その内容を共有いただけるとありがたいです。たとえば、スクリーンショットがあると的確に状況を把握することができます。少し手間はかかりますが、結果的に早い解決につながるケースも多いですね。

岩井 私たちは日々、お客様からいただいた声を開発チームへ共有しています。テクニカルサポート側で「これは重要ではない」と判断して止めることはありません。お客様にとっての困りごとには、それぞれ理由がありますから。些細なことでも、気になることがあれば気軽に相談していただけたら嬉しいです。

取材・文:遠藤義浩 写真:秋山枝穂 企画協力:株式会社シックス・アパート
※本記事はシックス・アパート株式会社とのタイアップ企画です。

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