
2つのメソッドでECの顧客体験を向上!
ゴールは何?目的を突き詰めて考えよう
質問を準備しておく重要性は理解できたと思います。しかし、徹底的なリサーチにもとづく質問と自社の強みを伝えるセールストークだけでは、なかなか顧客の期待に応えることはできません。
いい結果を導くには、課題のボトルネックを発見する必要があります。そのためには、相談者について把握することが大切です。
例えば、編集作業においてのインタビューであれば、俳優なのか、アーティストなのか、スポーツ選手なのか、企業の方なのか、インタビュイーによって本人の真意を100%引き出せる難易度は変わってきます。立場によって、ファンやステークホルダー、NG事項を意識した回答になってしまうからです。
いかに良い質問を準備していたとしても、前提となる相手の立場を理解していないと、結局は当たり障りないインタビューとなってしまいます。
特に今回のお悩みのケースの場合、相手が自らの意思を持った当事者として相談しにきているのか、あるいは、上長や会社からの指示として相談しにきているのかにより真意の引き出し方は大きく変わってきます。
真の課題は、相談内容だけでなく、この前提部分を理解することで見えてくることもあるはずです。例えば、当事者が直接相談に来ていれば、本人のニーズを聞き出すことは容易だといえます。課題が自分ゴト化されているので、簡潔な説明をしてもらえるからです。
しかし、その課題が相談者の会社や組織において、どれほど重要視されているのか把握していないと、当事者本人にとっての解決策は提示できたとしても、会社や組織の課題に対しての答えは出せません。入念なリサーチに加えて、相手の立場を踏まえた想定質問を用意しておくことが、真の課題を知るうえで重要です。
また、「いかに共通認識を持ってもらえるか?」という部分も大事になってきます。読み手が「自分に必要な情報だ」と認識してもらえるような感情を抱かせるために、時には注意を喚起するような厳しい内容や、事実を集める努力も必要です。
思考を整理するうえで便利なメソッド
前段で述べた「相手の環境や状況を考え、徹底的に準備する」という発想から、もう一歩踏み込んだアプローチを紹介しましょう。それは、よりエモーショナルな部分を押さえた考え方です。
今回のお悩みは、ニーズを掴みきれないところが問題です。いくらロジックを駆使して、ヒアリング内容から洗い出そうとしても、お悩みのように相手のニーズが見えない場合、どうすればいいのでしょう。
紐解く方法として、相談者自身も言語化できていない可能性があるのを見逃してはいけません。そして、「そもそも、なぜ、自分たちに相談が来たのか?」という点も着眼点として必要です。
問い合わせをして、わざわざ会う約束を取り付けてくれたのには、立派な動機があるはずです。そして、その動機こそが言語化できていないニーズかもしれません。価格が魅力的なのか、デザインセンスを評価されたのか、実績を信頼されたのか、まずは、相談者が自分たちを選んで相談しに来た動機を探ることをしてみましょう。
例えば、相談者が課題を丁寧に説明してくれたとします。そして、ヒアリングした結果、明確な解決策が浮かびました。しかし、「なぜ、その課題を解決したいのか」という部分が掴めないとすれば、本当にその解決策が相談者にとって正解なのかはわかりません。
解決策はわかっていても、ニーズがわからなければ、相手が期待しているものに沿っているか曖昧な可能性があります。もし、「デザインセンスが評価されて、相談しに来てくれているんだな」という問い合わせの動機を読み取れれば、解決策に「デザイン視点でのアプローチ」を欲しているといったニーズが見えてきます。そして、そこに応えるようなヒアリングをしていくと真のニーズを汲み取れるのです。

- 教えてくれたのは…岡崎 徹さん
- 株式会社mtc. 代表取締役 https://www.rmd.co.jp/ Facebook ID Shingo Sakai 私立志學館高等学校(鹿児島県)/立教大学を卒業後、SIerに入社。汎用機を中心としたシステムのエンジニアとして従事。ZOZOTOWNを運営する株式会社スタートトゥデイに入社。入社後4年間はサーバーサイド・クライアントサイド両方をSEとして、BtoBの立ち上げや倉庫の立ち上げ、サイトリニューアル等を中心となって担当。CRM部署立ち上げに伴ってマーケティング部署に異動。マーケティング部長としてCFMという独自のCRM理論を展開し、ZOZOTOWNの売り上げの3分の1を持つ、世に類をみないCFMシステムをスクラッチで創りあげた。日本のCRMを世界に発信することを使命に2017年3月に合同会社mtc.を創業し、代表に就任。現在は、経営戦略~CRM支援やマーケティングセミナーの登壇等、幅広く活動している。