第15回「詩ェイク」

偶然が近づく。

言葉には正解はないとおもわなくちゃ、こういう仕事は続けられない。(こんにちは、最果タヒです。詩を詩句ハックしながらハックするタイプの詩人です。リリカルを生業にしているという説があります。)情報伝達のためだけに言葉を書くなら確実に、正解というものは見えてくるけれど、もっと感覚的な部分を動かしていく言葉は、不安定さを維持することがある意味唯一の正解で、シュレディンガーの猫。美しいと書いても、「汚い」という意味がそこに隠されているような、そうした不確実性。人の感情がいつだってはっきりした言葉で言い切れないのだからこそ、こうしたはっきりしない「不確実性」は、決して不正解とは言えないと思います。

今回は、スマートフォンをシェイクすると、それに合わせて詩の言葉もシェイクされるという企画です。読む人自身の手で、新しい言葉の「不確実性」が生まれていくのかもしれません。

Text:最果タヒ
詩人/小説家。第44回現代詩手帖賞、第13回中原中也賞受賞。詩集に『グッドモーニング』(思潮社)、『空が分裂する』(講談社)、『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア)。小説に『星か獣になるなる季節』(筑摩書房)、『かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。』(講談社)
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