単なるリピーターではなく、ファンをつくる●特集「リピーター&ファンを生む新法則」

「良い売上」に必要なこと

安定した成長にかかせない「良い売上」を増やすために必要なことは、サービスのファンをつくることだ。ファンは単なるリピーターとは異なり、サービスに対する「愛着」を持った顧客を指す。具体的に言うと、ファンはサービスやその運営企業の姿勢に共感し、応援したいという気持ちを持っている。そのため、自社サービスを進んで繰り返し利用してくれるのはもちろん、たとえ競合他社が魅力的なキャンペーンを打ち出したとしても、安易になびくことなく自社のサービスを利用し続けてくれる。

さらに、周囲の人にもそのサービスを利用することを積極的に勧めてくれるようになれば、新しい顧客がさらに増えるきっかけにもなる。

下の図で説明すると、顧客は購買量と愛着度の2つの軸で捉えることができる。いくら購買量が高くても、サービスへの愛着度が低ければ(表左上)、その顧客は単なるリピーターであり、ファンではないということになる。そういう顧客は、前述したように乗り換えの敷居が低くなったりなど状況が変われば、競合サービスに流れてしまう可能性が高いだろう。これに対して、真のファンは購買量も愛着度も高い(表右上)。このような顧客を増やすことが、エンゲージメント向上の目的なのだ。そのために、購入度が高くても愛着度が低い「潜在的不満顧客」の不満を解消し、好感度を高めてファンにシフトさせることができるのか、はたまた現在購入量は少ないが自社サービスに対して好印象を持っている「潜在的ファン」(表右下)をいかに真のファンに引き上げることができるか、といった戦略を考えることになる。

「真のファン」の定義

自社サービスを心から気に入ってくれる顧客からの「良い売上」を増やすには、上図の右上に位置する「真のファン」をつくることが必要になる。ファンの定義とは、好んで繰り返し購入し、競合他社の誘いに乗らず、第三者に勧めてくれる顧客と言える

 

Text:大谷直也 (株)ビービット コンサルタント
東京大学経済学部卒業後、ビービット入社。 テクノロジーとユーザー中心設計に関する調査・研究活動に従事。
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