
自社にはどれが合う? 利用すべきSNSの最適解 Part1
SNSを始める前には「事前の設計」を
企業がSNSをこれから始めようとするとき、はやりのSNSを使おうとしてしまいがちだ。しかし、どのSNSが自社に向いているのかを十分に検討せず、見切り発車でスタートしてしまうと、適切に運用しきれずに、中途半端な結果になりかねない。そうならないためにも、SNSを始めるときは「事前の設計」が重要だ。
そのためは、SNSを使って誰にアプローチしたいのか。その誰かはどんなライフスタイルを送り、SNSをどのように使っているのか。どのような情報を得たら喜び、自社の情報を継続的に見てくれるようになるのか。また、運用にはどのような体制が必要で、リスクを回避する準備として何が必要なのか、といったことを考慮する必要がある。こうした検討を重ねれば、自社に最適なSNSが見つかるだろう。自分たちがSNSを使う意味、できることを整理してはじめて「どのSNSを使うか」を考える段階に移るわけだ。
また、「SNSは自社情報を無料で宣伝できるサービス」という認識を捨てることも重要だ。もともと自社のファンであるユーザーとのロイヤリティを高めるだけなら、それでも良いだろう。人手がかけられない場合、その割り切りは一つの正解でもある。しかし、潜在顧客層にリーチするために使いたいという企業は多い。そのためには、人材の投入や広告の活用は不可欠だ。そうしてうまく活用できれば、SNSは比較的低コストで、顧客との高いロイヤリティを構築できる。
では、利用すべきSNSの最適解はどのように見つければいいのだろうか。そのヒントとなるべく、3つの主要SNS「Facebook」「Twitter」「Instagram」の特徴や使い方を紹介していこう。

ユーザーと繋がるためには共感を生むストーリーを
ユーザーがSNSを利用する目的・モチベーションは、友人と繋がったり趣味の情報をチェックするためであり、けっして購買のためや企業の情報をチェックするためではない。そんな場所で商品やサービスの情報ばかりを出しても、ユーザーには響かないということを、まずは理解しておくべきだろう。
では、企業はSNSでどのような情報を発信すべきなのだろうか。それは、商品やサービスを提供する裏にあるこだわりや想いといった「ストーリー」を伝えることだ。ストーリーは共感を生み、共感を得るとユーザーはファンになってくれる。そうなれば、ユーザーにその商品やサービスに対するニーズが生まれたとき、競合他社よりも先に、普段SNSで触れている自社のことを思い浮かべてもらえるようになる。つまり、「第一想起」を獲得することができるのだ。
ストーリーを伝えるためにSNS担当者がすべきことは、開発者の話を聞くなど、表には出てこない情報を社内で収集し、自社の商品やサービスに詳しくなることだ。また、商品やサービスを持たない企業の場合、自社の事業に関連し、ユーザーが喜ぶ情報を発信することで独自のストーリーをつくり、伝えることができる。たとえば不動産屋が、「賃貸でもできるDIY」といった情報を出して話題になったことがある。そうした自社が持っている、ユーザーにとって有益な情報を提供していくと、ユーザーと繋がることができるのだ。
SNSごとに適切なコンテンツは違う
先述のように、ユーザーの関わり方はSNSごとに異なる。そうなると当然、それぞれのSNSで評価されやすいコンテンツも変わってくる。それを理解した上で、自社が出せる情報と相性の良いSNSがどれなのかを判断していくべきだろう。
Facebookでは、「エッジランク」という独特のアルゴリズムで、ユーザーに優先的に表示する投稿が決められる。最近の傾向としては、動画のリーチ(タイムラインに投稿が表示されたユーザー数)が伸びやすく、多くのユーザーに自社の情報を伝えやすい。また、Facebookを利用してオウンドメディアへ流入してもらうためには、リンク投稿にサムネイルが表示されるようにしたほうが、リーチしやすい。ただし、動画もサムネイルもクオリティが低かったり、表示サイズが適切でないと反応は得づらい。
140文字以内という短文で情報を伝えなくてはならないTwitterは、パッと見てユーザーの興味を惹く、キャッチーなコピーが効きやすい。コピーワークを練ることに時間をかけると良いだろう。
Instagramは、視覚的な楽しさやオシャレな雰囲気を演出しながらストーリーを伝えられる写真のウケが良い。また、Instagram唯一の拡散要素であるハッシュタグは、必ず使おう。それにより、自社の情報に興味があるユーザーと繋がる可能性が高まる。

- 教えてくれたのは…:管 大輔
- (株)ガイアックス ソーシャルメディアマーケティング事業部 部長。SNSのコンサルティング・運用チームを率いる。企画・分析に強みを持ち、数十社におよぶコンサルティング実績を武器に、SNS活用プロジェクトを成功へと導く。http://www.gaiax.co.jp /