変化の渦に見出したターニングポイント

Monaca

HTML5でiOS/Androidの両方に対応したモバイルアプリを開発できる「Monaca」。企業内部向けのアプリ開発が急増しているという。無料プランで個人のアプリ開発に利用しているユーザーも多い

「モバイルアプリはOSによって開発言語が異なるため、複数の言語に対応できるエンジニアの確保が必要になります。また、iOSとAndroidという2本分のアプリを開発することによるコスト面の問題も発生します。そこで、最近はワンソースで複数のOSに対応できるクロスプラットフォーム開発の需要が急増しています」

「Monaca」はこうした需要に応えるツールだ。JavaやObjective-CのエンジニアでなくてもWeb標準技術であるHTML5を使ってアプリを構築し、ひとつのソースコードからiOS用/Android用の両方を書き出すことができる。生形さんはそのMonacaのエヴァンジェリストとして、セミナーなどの講演や企業向けトレーニング、書籍の執筆といった活動をしながら、同社のスクールで講師を務めている。

 

SEから伝える立場へ

生形さんはSEを経て、IT系専門学校の非常勤講師を務めた後、PHPなどの研修事業を行っていたアシアルへ講師として採用された。

「Monacaの正式リリースに向けて、製品自体のPRだけでなく開発に必要なHTML5やJavaScriptの技術を広め、使える人を増やすことが重要だという方針が立てられ、新しくJavaScriptの講座をつくることが私の最初の仕事でした」

そして2013年9月、Monaca正式版がローンチ。より多くの人に技術を伝えるという意味を込め、“エヴァンジェリスト”に肩書きを変更した。HTML5勧告のちょうど1年前、業界全体に大きな変化の渦が起き始めていた時期だ。

「これからWebの世界がガラッと変わる、だからこそ“HTML5”を身につけたい。そんな機運が高まるなかで、仕事の内容を徐々にシフトしていったことが転機につながった思います」

生形さんにとってもここが現在へと至るターニングポイントになったという。

 
エヴァンジェリスト/講師として”伝える”

エルピーアイジャパンが定期的に開催している技術解説セミナーで講師を務める生形氏。アシアルのスクールではエンジニアだけでなく管理職が技術を把握し判断する目的で受講するケースも多いそうだ

 

HTML5資格取得と認定講師

LPI-JapanのHTML5プロフェッショナル認定資格がリリースされた時期もこれに重なる。生形さんは受講生から講座修了後の勉強の仕方について質問された際、目標の一つとして資格取得も良いのではないかと考えた。

「認定スクール制度もあることを知り、資格を取得すれば自社で資格試験対策講座が行えると思って、参考書で勉強をしてLevel.1を取得しました」

続いて、Level.2は正式リリース前のβ版試験に参加して取得。まだ参考書はなかったが、出題範囲の約7割がJavaScriptのコア機能に関するものだったため、過去の実務経験が役立った。残り3割はマルチメディアやパフォーマンスなど、HTML5で新しくなったAPIについてだ。まだブラウザ側に実装されていない機能は書籍で勉強して試験に臨んだという。その後は、アシアルの試験対策講座やLPIが開催するセミナーで認定講師としても活躍している。

ゲーム機・カーナビ・デジタルサイネージなど、あらゆるデバイスがHTML5でWebに繋がっていく現在、その最先端で技術を伝える仕事を生形さんは「楽しい」と語った。

HTML5プロフェッショナル認定試験

特定非営利活動法人エルピーアイジャパンが提供する認定試験。マルチデバイスに対応した静的なWebコンテンツをデザイン・作成できるスキルを問うレベル1と、Webアプリケーションや動的Webコンテンツの開発・設計ができるスキルを問うレベル2の二つの試験から構成されている

企画協力:特定非営利活動法人エルピーアイジャパン

  • URLをコピーしました!
目次