
サンフランシスコの会社訪問!【Udemy】
プロを養うオンライン学習
マッキンゼー社のリサーチによると、2009年から2012年までの間で仕事に必要とされるスキルの数が5倍に増えたとされています。しかし、時代の急激な変化に対応するためにスキルを身につけることは容易ではありません。そんな現代において、オンラインでの実践的スキルの育成に重きを置いているのが「Udemy(ユーデミー)」。就職や転職のため即戦力としての力が欲しいというユーザーの思いから、米国ベイエリア発の教育系プラットフォームの最大手となっています。
今回は米国サンフランシスコのUdemy本社にて、アジア展開担当として活躍する松方肇さんに同社のプラットフォームに関してのお話をいただきました。
Udemyのコンセプト
—まず、「Udemy」のサービス内容を教えてください。
Udemyとはオンライン教育プラットフォームで、「プロフェッショナルスキル」を身につけたい方への講座を提供しています。現在の受講生の数は1,300万以上で、2万人以上の講師が4万以上のコースを提供しています。現在世界190カ国以上でサービスを展開しており、売上の約半分ほどが米国外からのものとなっています。価格も1講座2,000円程度から2万円ほどとなっています。
—主にどんな方が受講されているのでしょうか?
ターゲティングはシンプルで「仕事のスキルアップを図りたい」人が多く、メインターゲットは転職などを考えるようになる30~40歳代が多く、国としては売上の50%が米国となっています。なぜならUdemyは授業の軸を「プロフェッショナル・スキル・デブロップメント」としており、レッスンはこれに沿ったものが提供されているからです。なので実践的なレッスン(プログラミング・デザイン・マーケティングなど)が非常に多くなっています。
Udemyのサービス
—他のオンライン教育サービスとの違いは?
Udemy自体ではコースの作成を行わず、あくまでプラットフォームとして講師と生徒をつなぐ役割を行なっているというところは特徴の1つでしょう。コースの検索画面内ではユーザーの口コミ・レビュー順に上から並べられるために、バイアスのかからないおすすめコースを使用できるという点が好まれています。日本ではまだオンライン教育は主流となっておらず、まだまだ発展途上ですが、IT教育が非常に進んでいる地域ではこれからの可能性が非常に高く、さらにユーザー数を増やしていくでしょう。
—実際にキャリアップを果たした人はどんな人がいますか?
Udemyの売りの一つがそのスピードです。例えば最新のiOSが発表になる前からβ版を利用したコースがいくつかアップされていたこともあり、正規盤がリリースされる頃には新しいOSを前提としたアプリ開発に関する数多くのコースがアップされていました。実例としては、まったくWeb関連に知識のない文系学生がUdemyのクラスを取って2週間でアプリ開発ができるようになり、そこで開発したものを企業に持って行って内定をもらったというようなケースがあります。
他には外資系の会社に勤めている方で、英語のプレゼンテーション・資料づくりの方法を学ぶ授業をとり、そこからさらに転職してキャリアアップを図られるという方もいます。
Udemyの講師
—クオリティの高い講座や優秀な講師をどうやって確保しているのでしょう?
講師の質を高く保つというのは教育業界にとって非常に大きな問題です。そこでUdemyが行っているのは、講師を友達の紹介で増やしていくという手法です。紹介で入ってくると、その関連の分野に精通していることが多く、かつ信頼性が高いです。加えて、紹介者の人と話をしているおかげでUdemyのカルチャーもある程度理解しています。このようにしてネットからだけではなく直にネットワークを広げることで講師の質を保つようにしています。
—Udemyでは講師に気軽に質問ができるというところも大きなポイントですね。
現在Udemyは「オンラインながら講師との交流が可能」という点が魅力の一つとなっていますが、人気講師は質問対応など個人でしていたら追いつけません。しかし、そこまで忙しくなるほどの人気講師とは、Udemyの講師としてだけで生活に困らない程度稼げるようになります。なのでそういった方々は質問対応のためのアルバイトなどを雇って対応を行うようになっています。これは生徒数が1,300万人まで増えたから可能になったことです。



