SNS動画広告の活用法

【Point 01】意外と手軽に始められる動画広告

広告は大企業が行うものというイメージがあるかもしれませんが、少額からでも始めることができます。動画広告を施策の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

定番となりつつある動画広告

「これからは動画が来る」と以前より言われてきましたが、最近になって本格的に広告において動画が一般的なフォーマットとなってきました。アライドアーキテクツでは代理店としてSNS広告の制作・運用を支援していますが、実際に企業から「動画広告を出稿したい」という相談は増えており、YouTuberを起用した動画制作・広告配信を手がける機会も増えています。競合他社が始めたことをきっかけに、検討したいという問い合わせも多いです。

従来の広告では、1枚の静止画で商品やサービスの良さを訴求する必要がありましたが、動画広告を活用することでより多くの情報を伝えることができます。ユーザーのニーズが多様化している昨今、商品の差別化や使い方などを紹介できる動画広告の反応はよいのです。

動画広告市場規模推計・予測(2016年~2023年)

2017年度の動画広告市場は、前年の842億円から1,374億円へと成長した。今後も増加傾向にあり、2023年には3,485億円になると予測されている(サイバーエージェント オンラインビデオ総研/デジタルインファクト調べ)

動画広告は身近な手段

個人事業主や中小企業の方は、動画広告を配信するハードルが高いと感じるかもしれませんが、数千円、数万円と、少額から出稿が可能です。配信する動画は、普段投稿しているコンテンツを流用し、手軽に始めることができます。また、SNSは成果が見えづらいと言われますが、広告出稿によって手応えを数値で確かめられるというメリットもあります。

 

【Point 02】どのSNSで動画広告を出稿すべきか?

本章ではFacebook、Instagram、Twitter、YouTubeでの動画広告について紹介していきます。うまく活用するために、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

SNSごとのユーザー層を知っておこう

最近はスマホの浸透で幅広い層がSNSを利用するようになっているものの、媒体ごとに利用者属性の違いがあります。たとえばFacebookは国内の利用者数が約2,700万人で、利用者の年齢層が比較的高めです。そのため、投稿やシェアされる情報は、ビジネス関連のものが多い傾向にあります。Instagramの利用者数は約2,000万人で、10~30代の若い女性が多く、コスメや美容、食などの情報を取得する傾向があります。そしてTwitterの利用者数は約4,000万人で、Facebookと比較すると若年層が多く、匿名利用もできるため複数アカウントを持っている人も多数います。YouTubeは世代を問わず幅広く利用されており、国民全体の約7割が使用していると言われています。人気YouTuberの番組やさまざまな動画コンテンツをじっくり見る目的で利用される傾向があります。

動画広告の出稿媒体を考える際には、まず自社のターゲットユーザーがどんな趣味嗜好を持ち、どういう目的でどの媒体を見ているかを考慮し、選定するとよいでしょう。

SNSごとの年代別利用率

Facebookは20~40代が中心で、他のSNSと比べて40~50代の利用率が高い。Instagramは20代前後が多く、Twitterは10~20代が多い。YouTubeは10代から年配層まで幅広い世代に利用されている(総務省情報通信政策研究所/平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書調べ)

SNSごとの単価と課金方法

SNSごとに予算はどの程度違ってくるのかも気になるところでしょう。アライドアーキテクツが手がける案件では、運用手数料込みでFacebookとInstagram(同一企業が運営していて広告は共通のサービスのため)の再生単価は3~4円ほど。Twitterは少し再生単価が安く、運用手数料込みで平均2~3円。YouTubeは、再生単価10円程度になることが多いです。こうした再生単価を参考に、再生目標回数をかけたものが出稿費用となります。再生目標回数は、自社の予算に応じて決めていきます。

もし動画やテキストのパターンを変えて複数種類の広告を試し、どれが響くかを検証したいという場合は、ある程度の予算をかけて出稿した方がよいでしょう。表示回数が少ないと効果的な検証ができずに、その動画広告の何が良かったのか判断できないということになりかねません。

また、課金のタイミングもSNSごとに異なります。一般的に、Facebook・Instagramは3秒以上の再生、もしくは全体の97%以上が視聴されたときに1再生としてカウント。Twitterはタイムラインに50%以上の画面が表示された状態で2秒以上再生されたとき。YouTubeは、30秒以上(30秒未満の動画の場合は最後まで)の再生かクリック等のアクションがあったときといったようになっています。

課金にも種類があり、CPVと呼ばれる再生単価が最もオーソドックスな評価方法です。Facebook・Instagramでは最適化CPMと呼ばれる、広告主の動画をより再生してくれる可能性が高そうな人に表示し、その回数で課金するという独自の方法があります。アライドアーキテクツでも、Facebook・Instagramではその最適化CPMを利用し、再生回数を伸ばすという案件は多いです。

課金の種類と特徴

動画広告の課金方法には4つの種類がある。目的によって最適な課金方法も違ってくる

 

【Point 03】FacebookとInstagramの動画広告の特徴

FacebookとInstagramは同一会社が運営するため、出稿システムも共通となります。ただ、対応している仕様は異なるので、各々の特徴を把握しておきましょう。

FacebookとInstagramの広告の違いを知る

初めてのSNS広告としてFacebookを活用するという企業は多いです。Facebookにオフィシャルアカウントを持っていて馴染みがあったり、実名制でターゲティング精度が高かったりすることなどが人気の理由でしょう。ユーザーがFacebookに登録している情報のみならず、Facebook上での行動に伴う情報はすべてターゲティングの材料になるので、その照合率は90%以上にもなると言われています。

また、今年1月にFacebookは、企業による投稿のフィードに表示される頻度が下がるようにアルゴリズムを変えたと発表しました。せっかく企業アカウントを運用していても、一般投稿では企業のメッセージが届きづらくなっているという状況でもあります。

Facebookへ出稿する場合は、特別なこだわりがない限り、Instagramと両方に出すことをおすすめします。というのもFacebookの広告出稿を最適化させる機能がとても優秀で、運用者が手動で調整するよりも広告の効率が良くなる傾向にあるからです。自動で「いまはこちらの方が入札単価が安い」というのを判断してFacebookかInstagramかに振り分け、広告のパフォーマンスを上げてくれます。

ただ、FacebookとInstagramで併用しての出稿を考える際には、それぞれにいくつかの広告の種類があり、表示可能なフォーマットが違う点に注意が必要です。たとえばフルスクリーン(画面比率9:16)の動画はInstagramのフィードには出稿できないというように、どこに表示させたいかによって用意する動画の形態が変わってきます。動画の時間数についても、Facebookでは240分まで、Instagramのフィードでは60秒まで、Instagram Storiesでは15秒までといったように変わってきます。

Facebook・Instagramで利用きる画面比率の種類

動画広告に利用できる画面の縦横比率は5種類あり、それぞれ使える広告の種類が違ってくる

Facebook・Instagramでの主な広告の種類と仕様

FacebookとInstagramの中で表示させたい場所などを決めたうえで、動画の縦横比率や長さを決めるようにしよう

広告の関連度スコア

Facebook・Instagramでは、広告の裏側で「関連度スコア」という評価をつけています。その広告に対するユーザーの関心の高さを10段階で示したもので、数字が多いほど高くなります。このスコアは広告マネージャー画面から確認することが可能です。いいね!やコメント、シェアといったポジティブな反応が付くとエンゲージメント率が上がりスコアも上がる傾向にありますが、「この広告を非表示にする」などのアクションを起こされるとスコアが下がる可能性が高いです。もしネガティブなフィードバックがたくさん集まったら、他社と同じ入札額にも関わらず入札競争に勝てず、どんどんフィードに表示されづらくなってしまうということもあり得ます。そのため、賛否両論があるような動画広告は、Facebookでは関連度スコアが下がるリスクがあることも念頭に入れておきましょう。

 

【Point 04】Facebook・Instagramの動画広告使いこなし術

動画広告の縦横比率や種類がいろいろある中で、どの広告をどういう手法で使ったらよいのでしょうか。その使いこなし術の一例を紹介していきます。

画面占有率の高い縦長動画

Facebook・Instagramの広告では、先述のようにさまざまな縦横比率の動画を使用することができますが、その中でもスマホ上で画面占有できる9:16の縦長動画は近年人気が高くなっています。SNSはフィード上にさまざまなコンテンツが流れているため、ユーザーにとって興味がないものはすぐにスクロールされます。横長動画だと1スクロールで画面から消えてしまいますが、縦長動画は大きく掲載されるので目にとまりやすいうえ、1スクロールではまだ画面内に残るので、興味をひくシーンまで再生されれば続きを見てもらえる可能性も上がってきます。実際に、縦長動画の方がクリック率が高まる傾向にあります。もし手持ちの動画が横長や正方形しかない場合は、動画の上や下に静止画を組み合わせて縦長動画のように活用するとよいでしょう。

とはいえ、縦長動画であっても、なるべく最初の画面でユーザーの興味を引くような内容にすることが望ましいです。かつては最初の3~5秒で動画の引きは決まると言われていましたが、最近は1~3秒だとも言われるようになってきました。動画のテンポを速くしたり、最初に大きな動きを入れるなどの工夫が必要です。また、SNSは移動中などの隙間時間に見られる性質上、音声なしで閲覧するユーザーが多いです。Facebookでは約85%の動画が音声なしで見られていると言われています。そのため、動画には字幕を入れるなど音声なしでも見られる工夫が必要です。Facebookが行った調査結果では、字幕を入れることで動画の再生時間が約12%長くなったそうです。

横長や正方形の動画を縦長動画として活用

横長や正方形の手持ちの映像を動画広告で利用する際に、画像の上や下部分に静止画を組み合わせることで、フルスクリーンの縦長動画(9:16)にすることができる。たとえば文具メーカーのキングジムでは、動画の上下を文字や色面で埋めて、縦長動画のサイズにしている

Instagram Storiesの広告利用

Instagramのフィードに表示される広告を利用する企業は増えていますが、投稿した動画や画像が24時間後に消えるInstagram Storiesへの出稿「ストーリーズ広告」を利用する企業はまだ多くありません。しかし、ストーリーズ広告への出稿はおすすめです。広告での利用実績が少ないため、フィードへの出稿と比べるとインプレッション単価が4分の1ほどで、コストパフォーマンスが良よいからです。ちなみに広告の場合は24時間では消えず、表示期間は出稿時の設定に準じます。

また、Storiesの投稿はすぐに消えるため、フィードの投稿に比べてクオリティを求められずラフに使われている傾向があります。そのため、動画広告においてもクオリティにこだわりすぎる必要はなく、気軽に利用できる点もメリットです。むしろ一般ユーザーと同様に、ラフな動画に斜めの文字やスタンプを入れるなどすることで、広告ではなく一つのコンテンツと認識され、見られやすくなるかもしれません。

Storiesの動画は60~70%が音声ありで見られているというデータもあるため、音声ありの前提で字幕ナシの動画にしても構わないでしょう。

Instagram Storiesの表示

Instagram Storiesは通常の投稿とは別に、スマホ・タブレットでは上部に、PCでは右上にアイコンが表示される。クリックすると、コンテンツが全画面で展開する

Instagram Storiesの広告利用

アパレルショップのスーツセレクトでは昨年、クリスマスセールの告知として、店内の様子を撮影した動画広告をストーリーズ広告で配信した。ラフな映像が、広告ではなくコンテンツの一つのように感じられる

 

【Point 05】Twitter動画広告の特徴と使いこなし術

話題にしたくなるような動画広告を出稿した場合、Twitterではリツイートで拡散することが期待できます。そのためには、媒体の特徴をきちんと理解しておきましょう。

Twitterの動画広告の特徴

Twitterの動画広告は「プロモビデオ」というサービス名で提供されています。長さは最長10分まで対応していますが、あまり長尺の動画は見られづらいので、通常は15~30秒、長くても1分以内に収めた方がいいでしょう。画面の縦横比は横長だけでなく正方形、縦長動画も対応しています。タイムラインに表示されるとき、動画は表示枠に高さであわせて余白は黒塗りになりますが、クリックすると全画面で表示されます。また、映像は自動再生されますが、音声は最初オフに設定されていて、クリックされると音が出ます。

プロモビデオの90%近くがスマホで視聴されていると言われているので、きちんとスマホに対応するように下記の条件を満たした動画広告を配信するようにしましょう。

Twitterの動画広告の仕様

スマホに対応するよう、きちんと条件を満たすようにしよう

リツイートで広告をさらに拡散

Twitterはハンドルネームを使い趣味の用途で利用しているユーザーも多く、エンターテインメント性のあるものやおもしろい内容の動画の受けが良い傾向にあります。また、Facebookではシェアが自身のブランディングになるという側面もあり、動画広告がシェアされることはあまり多くありませんが、Twitterは媒体の性質上興味のあるものが気軽にリツイートされやすいです。つまり、Twitterで好まれそうなネタや議論が生まれるテーマの動画広告にすると、リツイートで拡散することが期待できるというわけです。ちなみにリツイートされたものに対する視聴は課金対象にはならないので、リツイートを集めると低コストで多くのユーザーにリーチすることができます。

昨年夏にモスバーガーが行ったキャンペーンでは、ハンバーガーを食べる人の口元のアップから始まり、口についたソースでシズル感を表現するという、少し尖った動画広告を出稿しました。テレビCMの訴求とは違い、ユーザーからの突っ込みどころをあえてつくっています。この動画にはポジティブな意見、ネガティブな意見の賛否両論がありましたが、そうした議論が生まれることで拡散されました。その結果、マス広告ではリーチできていなかった若年層からも多くの反応を得られ、実際にECでの販売件数も増加しました。

Twitterでリツイートされる動画広告

モスバーガーが昨年夏に行ったSNS用の動画広告。最初に口元のアップから始まることで目を引きつけ、口元についたソースのシズル感が賛否両論を呼びリツイートを集めた

 

【Point 06】YouTube動画広告の特徴と使いこなし術

動画広告の再生完了率が高いYouTube。より効果的に利用するために、3種類の広告フォーマットの特徴を理解し使いこなしましょう。

YouTube動画広告の特徴

SNSへの出稿を検討する際に、普段SNSを使っていない上司の理解を得づらいという話は少なくありません。しかしYouTubeは、年配の方でも子どもと一緒にテレビ代わりに見ていたりと馴染みがあるので、出稿媒体としての理解が得やすいというケースが多いです。また、再生回数がはっきりと出ることがメリットと感じられているようです。広告出稿とは少し違いますが、人気YouTuberとのタイアップ企画というのも増えつつあります。

YouTubeは、他の媒体と比べて動画広告の再生完了率(動画が最後まで見られた割合)が最も高いのが特徴です。特にPCでの再生完了率がとても高くなっています。たくさんのコンテンツが流れるFacebookやTwitterと異なり、YouTubeは一つの動画を見るという点から、最後まで見られる割合が高くなるのでしょう。

そのため、ちょっと知ってほしい、興味を持ってほしいという認知を目的とした動画広告をまずリーチ単価の安いSNSで行い、商品紹介や使い方紹介などの動画をYouTubeで出稿するというような使い分けもできます。

YouTubeの動画広告の種類

広告の種類ごとにユーザーが目にするシチュエーションや長さ、スキップの有無などが変わってくる。それらを踏まえたうえで、どのタイプで出稿すべきか考えよう

YouTube動画広告の種類

YouTubeの動画広告には「TrueView インストリーム広告」「TrueView ディスカバリー広告」「バンパー広告」の3種類があります。インストリーム広告は一番オーソッドックスなもので、他の動画の再生前などに動画広告が表示されるます。再生して5秒経つとスキップすることができるので、最初の5秒間で続きを見たいと思わせないといけないという難しさがあります。

ディスカバリー広告は以前インディスプレイ広告と呼ばれていたものです。YouTubeの関連動画の横や検索結果の一部などとして表示され、ユーザーがクリックすることで再生されます。

バンパー広告はスキップできない6秒以下の動画広告で、他の動画の再生前などに表示されます。以前は30秒間スキップできないものでしたが、2016年5月から6秒になりました。6秒で訴求できる内容は少ないので、要素を詰め込みすぎると伝わらなくなってしまいます。ブランドの認知を高めたり商品の認知を高めたりと、1つか2つのメッセージに絞って伝えるか、シリーズで何本かつくったものを出し分けるといった使い方がよいでしょう。また、あまり長い動画を視聴するのに向いていないスマホ閲覧者向けに利用することもできます。 ディスカバリー広告と併用する使い方もおすすめです。まずはバンパー広告の短いメッセージで印象づけ、ディスカバリー広告をあわせて出稿することで、クリックしてもらいやすくしていきます。

このように、どんな動画広告にすべきかは、広告フォーマットの特徴も鑑みて考えていくとよいでしょう。

動画広告を組み合わせての利用方法

バンパー広告は6秒しかないが、スキップできないので最後まで見られる。この間にユーザーに印象づけておき、詳細な情報はTrueView ディスカバリー広告で出稿しておき、ここのクリック率を高めることを合わせ技で狙っていくという出稿プランも有効だ

 

小屋敷歩美
アライドアーキテクツ(株)プロダクト本部 Ad-Tech事業部

SNS広告に特化した新部署設立に参画後、美容・食品を中心としたブランド企業やゲーム・アプリ企業などのダイレクトレスポンス領域~プロモーション領域まで幅広い支援を行う。2017年同事業部の副部長に就任。

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