《デザイン基礎講座》「情報設計」を学ぶメリットとは?

難解な印象のある情報設計は何に役立つのだろうか? UI/UXデザインと何が違うのだろうか? そんな疑問を持っている人も少なくないでしょう。しかし、情報設計とは制作のコスパを向上するために、大いに役立つ知識体系なのです。

目次

変わりようのない構造を明らかに

情報アーキテクチャとかIAなどと呼ばれることもある情報設計は、言葉を使いながら情報を整理・構造化し、ユーザーがその情報を理解しやすく、アクセスしやすくするためのアプローチのことを言います。例として情報設計の考え方で、「学校」の要素を考えてみるとこんな感じになります。

  •  [教室]は複数の[生徒]と[教師]を内包する。
  •  [教師]は複数の[クラブ]にも顧問として所属する。
  •  [生徒]は複数の[クラブ]に所属している。
  • [クラブ]は複数の[生徒]によって構成される。

こんなふうにして、学校というコンテンツが含む、“変わりようのない構造”を明らかにしていくのが情報設計です。UIデザインやUXデザインは時代や社会情勢によって、さらにはユーザーのタイプによっても正解が変わるのと比べ、情報設計はコンテンツのありのままの姿を明らかにすることで、「絶対的な正解」を見出すものです。そう考えてみると、あたかもデータベースをつくるようにしてコンテンツと向き合う情報設計は、デザインというよりもエンジニアリングに近いものだと捉えることができると思います。

実はこの情報設計、少々とっつきにくいこともあって、学ぶ人が減ってきていると言われています。しかし、その重要性は今もまったく変わりません。むしろ自由にナビゲーション構造がつくれるようになったことで、より一層その価値を高めているとすら言えると思います。

制作のコスパを高める情報設計

では、この情報設計を学ぶメリットは何かと問われれば、「悪くないUIをめちゃめちゃコスパよくつくれるようになる」とお答えしたいと思います。

ではなぜコスパがいいのか。それはコンテンツの構造を明らかにすることで、最適なナビゲーション構造が自然と見えてくるからです。情報設計をすることで、ユーザーが欲しいコンテンツにたどり着く一番最適で、かつ、効率的な方法が明らかになる。だからUIデザインの安定した土台を素早くつくることができます。

この情報設計にぜひ注目してほしいのは、Webサイトやアプリの制作現場でワイヤーフレームをつくる、ディレクターやプロジェクトマネージャーでしょう。情報設計を学ぶことで、思い込みや主観にとらわれることなく、サイトやアプリの設計を行うことができるようになるでしょう。

「名詞 ⇨ 動詞」の順番を守ろう │ UIデザイン
インターフェイスの操作の順番はどのように設定していますか? この正解を皆さんはご存じでしょうか?
https://youtu.be/Tryp06H_dNU

教えてくれたのは…

広野 萌さん
株式会社フォルテ 代表取締役 一般社団法人デザインシップ代表理事 デジタル庁/ヤフー株式会社にデザイナーとして入社後、2015年株式会社FOLIO共同創業。2018年一般社団法人デザインシップ設立、2021年株式会社フォルテ設立、同年内閣官房IT総合戦略室を経てデジタル庁入庁。

Text:小泉森弥 Illustration:國廣 稔
※本記事は、「Web Designing 2024年2月号」の記事を一部抜粋・再編集して掲載しています。

  • URLをコピーしました!
目次