【コラム】「AI=電脳」から解き放たれた瞬間

今号のテーマはAIということですが、思い起こすと私はAIについて昔から興味があったなと思います。「好きなアニメは?」と聞かれると、『攻殻機動隊』や『AKIRA』を挙げるくらいです。ここ数年は、ドワンゴさんが主催するプロ棋士とAI棋士棋士の戦い「電王戦」をスポンサーとして見学させてもらったり、「東京大学グローバル消費インテリジェンス寄付講座」でケーススタディをさせていただいたりと、幸運にもAIにまつわる仕事に関わることができました。

とはいえ、サイエンスのスペシャリストたちによる研究を遠くから見ているだけで、相変わらず私にとってAIは遠いものでした。それが、2016年にMicrosoftさんのAIをローソンLINE公式アカウントに移植するというプロジェクトをスタートしたことで意識が変わりました。

「あきこちゃんAI」には、LINE公式アカウントにチャットボットを導入してローソンの商品を事前におススメするという機能があります。2010年につくった「ローソンクルー♪あきこちゃん」というSNS公式キャラクターに会話機能を追加するというもので、実は、世に出るまでに、検討開始から約10カ月掛けたプロジェクトでした。

あきこちゃんには、キャラクターマニュアルがあったものの、TwitterやFacebookでは返信をしないので、会話データがなく、一からデータをつくり込んでいく「AI化」の必要が生じたのです。そこで、AI化してくれるMicrosoftの女子高生AI「りんな」チームのエンジニアさんに、あきこちゃんをつくったきっかけやパーソナリティなど、あきこちゃん「らしさ」についてのエピソードやヒントを一所懸命に説明しました。

たとえば、「ある店舗の夕勤のクルーさんが実際のモデルだった」「笑顔がステキな彼女がいるだけで、お店に会いにくるお客さんがたくさんいた」「クリスマスイブにケーキを買うために大型トラックでUターンしてまで買いにきてくれたお客様がいた」…思い出す限りのことをお伝えしました。

7年前につくったキャラクターですが、ここまで詳細を思い出しながら話したのは久しぶりでしたし、今思えば、単なるデータの蓄積のためではなく、AIに“人格”を与えていたのだなとも思います。

あきこちゃんのキャラクターについて話しはじめた時は心が躍るほどに嬉しく、心のどこかで漠然と思い込んでいた「AI=電脳」というイメージがガラッと変わった瞬間でした。

いまはまだ、ぎこちない会話しかできないあきこちゃんAIですが、「近所のコンビニで夕方に笑顔で働いているクルーさん」を目指しながら「顧客接点にいるAI」として成長していってくれるといいなと思います。

 

Microsoftさんの女子高生AI りんなちゃんのテクノロジーでコラボレーションした「ローソンクルー♪あきこちゃん」。ローソンLINE公式アカウントでお待ちしておりますので、ぜひ友だち追加してみてくださいね

 

ナビゲーター:白井明子
(株)ローソン デジタルプラットフォーム部シニアマネジャー。デジタルプラットフォームを用いた施策の構築と企画を担当。「Web人大賞」、日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー準大賞」受賞。ACC新事業検討委員会委員、法政大学イノベーションマネジメント研究センター客員研究員。http://www.lawson.co.jp/
  • URLをコピーしました!
目次