
Facebook投稿を明るく続けられる理由って?

キングジム商品開発から広報室へ。現在はFacebookを担当。2010年入社。当初は商品開発を担当し、「ポメラ」の開発などに携わる。昨年6月から広報室でFacebook投稿を担当する

キングジム入社以来、ずっと広報室でFacebook担当。2015年入社。広報室に配属され、前任者から引き継ぐ形でFacebook担当に。宮崎さんが異動してくるまでは一人でFacebook投稿を担当

未来食堂のせかいさんもFacebook投稿に悩み中 未来食堂 東工大理学部数学科卒。日本IBM、クックパッドにてエンジニアとして6年間勤務後、約一年半の修行の後「未来食堂」を開店

本誌編集長が「悩める担当者」の声を代弁して質問します。1998年にマイナビ(株)入社。『Mac Fan』編集部に所属。Web Designingに異動後、2016年より現職
Facebook投稿で「?」をやめたその理由
SNS活用をうまく活用することで知られるキングジム。Facebook担当のお二人に、日々なにを考え、どんなふうに取り組んでいるのか、いろいろな角度から質問をしてみることにしました。参考になる話がたくさん聞けましたよ!

─ お二人で担当されていたんですね。
宮崎 昨年6月から二人になりました。それまでは大塚が一人だったのですが。
大塚 私は2015年に入社してすぐ、前任者から引き継ぐ形で担当になりました。キングジムのSNSではTwitterのほうが知られているので、Facebookチームが取材を受けることはあまりないんです。ちょっと緊張してます(笑)。
─ 今日は弊誌で連載をしていただいている小林せかいさんの未来食堂におじゃましています。せかいさんにも個人商店の代表として参加してもらいます。
せかい 今日はすごく楽しみにしてました。Facebookについて聞きたいことがあるだけじゃなくて、私、キングジムの「ポメラ」のヘビーユーザーでもあるので。本や原稿はすべて「ポメラ」で書いてるんです。
宮崎・大塚 ええっ!
宮崎 感激です! 私が開発に所属していた当時関わってた商品なので!
─ 「ポメラ」の話が出たところで、キングジムの紹介をしていただけますか?
宮崎 はい、弊社は「キングファイル」、ラベルライター「テプラ」をはじめ、「ポメラ」のような電子文具や「オフィス環境改善用品」と呼んでいるオフィスまわりを便利にする商品、最近では女性向け文具までを幅広く扱う文具・事務用品メーカーです。
─ ありがとうございます。今日は弊誌の岡も、伺いたいことがあるということで参加させていただきます。
岡 キングジムといえば、ユーザーと向き合う企業というイメージがありますよね。SNSをうまく使っているという印象も強い。ところでFacebookとTwitterはそれぞれ別の方が担当されているんですか?
大塚 はい、同じ広報室の者が2名、「姉」「妹」としてTwitterを担当しています。
岡 Twitterと比べると、Facebookのほうはキャラを抑えた感じですね。
大塚 ファンになってくださっている方の年齢層が30~50代と、Twitterと比べて高いことや、FacebookというメディアにTwitterと公式リリースの中間の性格があると感じていることから、いまのトーンに落ち着いています。ただ、以前は文末に「?」を付けていた時期もあります(笑)。試行錯誤の連続です。



書く前に整えるのは“気持ち”の部分
Facebookで商品の宣伝をするのって難しいですよね。キングジムの二人はその点をどんなふうに考えて実践しているのか、聞いてみることにします。
せかい 投稿文章の書き方が気になるなあ。キングジムさんのFacebookでは文章をさっぱりめにしていますが、あえてそうしているんですか?
大塚 はい。自分の日常を考えてみると、SNSを見るのはたとえば昼休みのような、息抜きのタイミングが多いんです。そういうちょっとした楽しみの時間にグイグイと入り込んでいくのはどうだろう、と。
宮崎 「ちょっとおじゃまします」くらいがいいんじゃないかなと思っているんです。
岡 でも企業アカウントですから、宣伝はしないといけないですよね。
大塚 当然ですが、“商品を買っていただきたい”という気持ちは強くあります。でもその一方で、自分だったら無理にすすめられるのはイヤだなあと。
宮崎 だから、「この商品はこう使えます」というところで止めて、その先の「役に立ちます、買ってください」までは言わないようにています。便利に思うかどうか、欲しいか欲しくないかは見る方の判断に委ねてしまう。
岡 ガツガツせず、ニュートラルに情報発信をするのがコツ、と。
宮崎 あとはできるだけ気持ちよく読んでいただけるように、タイトルを見やすく付けたり、文章が長くなりすぎないようにと、細かく気を遣っています。
大塚 “大事な情報はきちんと伝え、尋ねられたことには丁寧に回答するけれど、無理やり押し付けるようなことはしない”いう意味で、私はデパートの店員さんをイメージしています。
岡 なるほどー。うまいこと言うなあ。
せかい でも動画は凝ってますよね。画像の使い方も。見ていてすごく楽しい。
宮崎 文章をさっぱりさせる分、詳細情報や“思い”みたいなものは動画や画像に込めるようにしています。「便利そう」とか「楽しそう」といった感覚的な部分は文章よりも伝わりやすいと思うので。
大塚 特に弊社の商品には、使ってみて初めて特徴がわかるものが多いので、動きのあるコンテンツの価値は高いと思っています。
岡 動画はどうやって撮っていますか?
大塚 だいたい、空いている会議室に閉じこもって撮影します。
宮崎 こもるよね(笑)。
大塚 終わったらPCで、「こっちのカットはあと0.1秒削る」、「こっちのカットを0.2秒伸ばす」といった感じでコツコツやっています。動画はちょっとしたタイミングの善し悪しで、見た人の反応がまったく変わってきますので。
せかい しんどくて辛くなったりはしませんか?
大塚 それはないです。自分で見せ方を考えて工夫しながら投稿するので、スベってガックリすることはありますが(笑)、辛いということはないです。むしろ、どうしていいのかわからずに投稿していた時期のほうが辛かったです。
岡 それはいつ頃のことですか?
大塚 担当になった当初です。当時は「文章は間違いがないことがなによりも大事」で、「写真はプロのカメラマンが撮ったきれいな写真をそのまま使うのがいい」と思い込んでいたんです。
岡 自分なりの工夫をすることで成果が出はじめ、意識も変わった、と。
大塚 前向きになれたように思います。そういう気持ちは投稿に現れて、ファンの方々にも伝わるような気がします。
岡 なるほど。宮崎さんはどうですか?
宮崎 意識の話で言うと、コメントのやりとりにはどうしても力が入りますね。Facebookは実名でコメントしていただくわけですし、それだけ一言の意味が重いと感じていますので。ただ、コメントについては今よりも開発にいた頃のほうが気にしていたかもしれません。自分が関わった商品にどんなコメントが付くのか、ドキドキしながら見ていましたので。いまも多くの社員がコメントをいただけるのを楽しみにしていると思います。


Facebook担当で良かったと思う時は?

Facebookの可能性を皆で共有しよう
誰もが悩むネタ作りのコツから、目標設定の仕方、さらには社内理解向上まで。まだまだいろいろ聞いていきます!
─ ここからは、ネタ作りや投稿の評価の仕方など、運用の話に入っていけたらと思います。
岡 そういえば、「ハイブリッドファン」の動画(P.084)は面白かったです。エアコンの下でクルクル回ってるだけなのに、ついつい見てしまう。
大塚 実はあの動画、ネタ切れで困っていた時に、ふと目に付いた「ハイブリッドファン」をサッと撮ってサッと編集してアップしたんです。あまりに考えなしに投稿してしまったので、後で「まずかったかな」って反省したくらいでして。それが昨年の「いいね!」「リーチ」数のベスト5に入ったんです。現場の人間は面白いと思っていないんですが…。想定外の反応でした。
岡 いつも真面目だから、見る側は不意を突かれたのかもしれませんね。そういえば時々、変わった投稿がありますよね。「春の妄想」とか「決算書」ならぬ「血算書」(P.085)とか(笑)。
宮崎 ときどきは変わったことをして、ユーザーの嗜好の変化を見るようにしているんです。以前は受け入れられなかったタイプの投稿も、時が経つと思わぬ反響があったりしますので。ただ、会議室で一人で「血算書」の仕込みをしている姿は人に見られたくなかったので、誰か入ってきやしないかとソワソワしていました。
岡 また会議室(笑)。
せかい そういえば、先ほどからファンの反応の話が出ていますが、どの指標で見ているんですか? 「いいね!」の数?
大塚 個々の記事への評価は、記事の「リーチ数」で判断していますが、リーチが上がる要因でもある「いいね!」や「コメントの数」などの変化も注意して見ています。ただ、キングジムのFacebookアカウントとしては、認知の向上のために、ファン数を増やすことを目標にしていますので、そちらの増減も気になります。
せかい たしか今、9万人くらいファンがいますよね。そんなにいてもまだ増やす必要があるんですか?
大塚 キングジムのTwitterアカウントには、22万人のフォロワーがいるのですが、やはり反響の大きさや質が違うんです。単純な比較はできませんが、9万人のFacebookがコアなファンの比率が高いのに比べて、その外側の方々からも反響があるように感じます。
宮崎 ファン数が増えていけば、もっと広く情報を届けられるメディアにできるだろうと思っています。
岡 ところで会社内でFacebookアカウントの意義や成果についてはどう見られているのでしょう?
宮崎 社長がSNS好きということもあってか、そもそも理解があると感じています。投稿に関しては、内容についても目標設定に関しても私たち二人に任されていますので。ただ、これからは目に見える成果を出していくようにしないといけないと思っています。たとえば企業の公式窓口としての価値を高めていくとか、やれることはいろいろあると感じています。
大塚 最近になって、投稿用に作成した動画が営業の商談ツールとして活用されたりするなど、少しずつなのですが具体的な成果が出はじめています。そういった点をもっと推し進めていけたらなと思っています。
岡 なるほど。SNS担当者のほうからもアプローチをすることで社内におけるSNSの価値を上げていこうというわけですね。この点は悩んでいる担当者も多いので、参考になる部分だと思います。
─ さて、そろそろお時間となりましたのでこのあたりでお開きにさせていただきたいと思います。キングジムのお二人、せかいさん、どうもありがとうございました。
せかい あ、最後にもう一つ言わせて。熱心なユーザーの一人としては、「ポメラ」の活用事例をFacebookに投稿してほしいです!
宮崎・大塚 はい! 検討します!(笑)
もしも企業ではなく個人商店の担当だったら?


社内のSNSへの見方はどうですか?

