Webにおける「おもてなし」の接客を実現する「チャットツール」●特集「ECサイト、次に打つべき6つの施策」

中小のECサイトこそ「チャット」を

海外のECサイトでは、チャットは当たり前のコミュニケーションツールとなっている。日本では、それほど普及していないが、売り上げが200%向上した事例なども生まれている。業種や取り扱い商品によって向き不向きがあるが、Webサイトでの「接客」は、「商品へのこだわり」が強い中小規模のECサイトのほうが相性がよい側面もある。

相性の良い業種は?

チャットが相性のいい業種として挙げられるのは、接客の有無がコンバージョン率を大きく左右するECサイトだ。たとえば、ファッションやコスメ、食材など、相談しながら買い物をする分野、金融商品や不動産、宝飾品など高価な商品を取り扱う分野などだ。一方、日常生活用品などはあまり相性がよくないが、長期的視点で見るとチャットツールはすべての業種で可能性を秘めている。なぜなら、Webサイト上での顧客ニーズや課題を生の声として把握することができるからだ。

もっとも重要なのは、実店舗と限りなく近い接客活動を通販サイトでも実現し、ブランドの世界観や商品を語ることができる点だ。

 

分析ツールより優秀?

「Googleアナリティクス」などのWeb解析ツールではユーザーの行動を数字ベースで把握することができるが、「それはなぜ起きているか」「どうすれば解決できるのか」の解決策を教えてはくれない。チャットツールを導入すれば、解析ツールをベースに課題点を発見し、そのボトルネックがどこなのかのヒントをチャット接客やユーザー行動から見出すなど、数字だけではわからない顧客の姿を把握できるようになる。

一部のチャットツールでは、ユーザーが現在見ているページはもちろん、アクセス経路や、利用中のデバイスも把握できる。たとえば「初めて来店したユーザーが会員登録ページに長く滞在している」場合、買い物をしたいのにサイトの使い方がわからないのかもしれないといった対応が可能になる。そういったユーザー行動を把握できるだけでもメリットは大きい。

「直感的」にユーザー行動を把握できる管理画面

多くのチャットツールでは、サイトを訪問したお客様の状況や行動、訪問回数などに合わせた「自動話しかけ」が可能だ。また、「自動返信」で質問項目を振り分けてからオペレーターにつなぐなどの機能もある(画面は「Chamo(チャモ)」)

成約率は倍増する?

チャットを導入して2倍以上のパフォーマンスが出ている事例もあるが、気をつけなくてはならないのは、あくまでもチャット接客を受けているユーザーグループにおいての効果だということだ。つまり、その体験(チャット)を受けるユーザー数自体を伸ばせなければ、売り上げ向上も見込めないのだ。そのためには、「自動応答」を用いて、タイミングよくお声がけをするといった施策が有効だろう。

また、「本当の接客」を行うには、商材について詳しいスタッフが担当することが効果的だ。とはいえ、四六時中張り付いているわけにはいかないので、対応時間を決めておいたり、キャンペーン時のみに導入するなどの工夫が必要になる。たとえば、ファッションブランド「BEAMS」(http://shop.beams.co.jp/)では、父の日ギフトキャンペーン「チャットコンシェルジェ」を実施し、スタッフがリアルタイムに相談に応じ、大きな成果を上げた。

 

越境ECでは必須機能

欧米は日本よりもチャットでのコミュニケーションが進んでいる。また、実際に利用したことがある消費者は全体の58%にも上る。日本では当たり前に感じないが、海外向け通販サイトではチャット導入は必須だろう。多言語対応や自動翻訳機能を搭載しているツールもあるので越境ECも視野に入れている場合は、そういったサービスを導入しよう。

海外でのチャットの割合

消費者が好むコミュニケーションツール(2012年 米国)

出典:http://www.e-tailing.com/content/wp-content/uploads/2012/03/Live-Chat-Effectiveness-2012-V5.pdf

Text:横山隆(通称ecおじさん)
株式会社VASILYのコンサルタント。アパレル店員として接客現場を経験後、主にアパレルメーカーの通販立ち上げや売上拡大のための戦略/戦術に関わるコンサルティングを担当。通販担当者向けブログ「YAMAYOKO.com」主宰。『Fashionsnap.com』『Fashion Marketing Journal』『VentureNow』などへ通販に関する記事寄稿多数。
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